20歳から約10年間、店舗や公共建築の内装を行う会社に勤めていました。業務の分業はされておらず、営業から設計、現場の施工管理、家具やショーケースの製作まで、全部自分で担当していました。30人ほどの小さな会社でしたが、現場は全国にあって多忙な毎日。それでも20代はがむしゃらに経験を積む期間、忙しくて当たり前と思って頑張っていました。
そんな中で迎えた30代。そろそろがむしゃらな時期は卒業して、これまでの経験を活かしながらじっくりと仕事に向き合うような働き方がしたいと考えるようになりました。この業界では独立する人もたくさんいますが、私はそういうタイプでもない。ならば転職しようと、これまでにお世話になった方たちに相談をはじめました。
その中のひとりが、同じ会社から一条工務店に転職していた先輩。話を聞いてみると、一人ひとりのお客様とじっくり向き合える営業の仕事も面白そうでしたし、商品力があって自信をもって提案できそう。性能重視の家をつくっていることにも惹かれました。さらに、人間関係の風通しも良さそうで、収入面も魅力的。ぜひ一条工務店で30代の人生をスタートさせたいと思いました。

一条工務店のユニークなところは、決まった営業スタイルがないところだと思います。効率的なコミュニケーションをとってどんどん仕事を動かしていく人、一棟一棟完成までじっくり付き合う人……。いろいろな個性を持った人たちが、自分らしい方法でお客様とお付き合いしています。私は明らかに後者のスタイル。せっかくご縁のあった方なので成約後もお話を伺いながら、お客様と一緒になって完成を楽しみます。
すべてのお客様に対してそうなので時間もかかって大変ですが、最後に「ありがとう、よかったです」と言ってもらえると、また次のお客様にも同じことをしたいと思うんです。自分と同世代のご夫婦を担当した際にはそれぞれの親御さんとも仲良くなって、ご家族だけのバーベキューパーティーにご招待いただくような間柄にもなりました。
一人ひとりのお客様との時間を大事にするのが自分の営業スタイル。だから、お客様からお客様をご紹介いただくことも多く、結果的に新規のお客様を獲得することに追われなくても、満足できる収入が得られています。これからも自分らしいスタイルを変えることなく、一人ひとりのお客様の力になることを第一に考えられる自分でいたいと思います。

がむしゃらに働いていた20代の経験ももちろん活きています。たとえば、間取りのご相談。簡単なラフスケッチならお話を聞くその場で描けますし、アイデアもお出しできます。設計士を交えているとご提案がワンテンポ遅れて他のハウスメーカーに目移りされてしまうこともあります。その場で提案し、スピード感を維持しながら家づくりを進めていけるのは自分の強みだと思います。
また、家具づくりをしていた経験から「お客様のような好みなら、きっとあのブランドの家具が似合いますよ」とアドバイスすることもあります。もちろん、こちらから一方的に情報をご提供するだけでなく、お客様からトレンドを教えてもらうこともあります。インテリアの話をするのはお客様も喜ばれますし、一緒に盛り上がれる大切な時間。コミュニケーションをとる中でこれまでの経験を発揮できる、いい仕事を選んだと思います。

家づくりの過程ではいろいろなお話をしますし、思いがけないところで意気投合することもあります。私は釣りが趣味なのですが、それがきっかけで仲良くなって、お引き渡し後もプライベートでのお付き合いがつづいているお客様もいらっしゃいます。「今日は○○があそこで釣れているらしいですよ」と情報交換する時間は、仕事なのか趣味なのかわかりませんが楽しいものです。
ところで、実は釣りと営業には共通点があります。それはどちらもいい準備をするかどうかで結果が決まるということ。行き当たりばったりでたまたま上手くいくことなんてありません。しっかりと相手が望むことを考えて、行動して、はじめていい結果につながる。これからもその姿勢を変えることなく、一組一組のお客様に向き合っていくのが目標です。