ここまででいいなんて、終わりは、ない。

ここまででいいなんて、終わりは、ない。

それは3連休が明けた、1995年の1月17日。午前5時46分のこと。

「よかった」胸を撫で下ろそうとした、その時…

一条工務店にとっても、初めて経験する巨大地震災害が、この阪神・淡路大震災でした。お客さまは無事だろうか。家は無事だろうか。どれだけ案じたところで、できることは多くありません。ならば、とにもかくにも、まずは現場を実際に見なければ。一条の調査チームは直ちに現地に向かいました。
そこに広がっていたのは、まさに“惨状”。高速道路や大型のビルまでもが崩れ、現実とは思えない衝撃的な光景でした。
恐る恐る、お客さまのお宅を訪ねるチーム員たち。ところが、そこには意外な事実が待ち受けていました。なんと一条の家は、全壊はおろか、なんと半壊した家さえもゼロだったのです。
「地震に強い家」を目指し、研究を重ねた結果が、現れたかもしれない——
「よかった」と安堵の胸を撫で下ろしつつ、家屋の中に入った、その時でした。

床に散らばる皿やガラスの破片、無惨に倒れた家具、そして、既に形を失った誰かの大事な“何か”。無事であった建物の外観からは全く想像できない、地震の確かな爪痕がそこにありました。

とあるお施主様は、泣きながら声を振り絞ってこうおっしゃいました。
「朝方、お手洗いに起きたタイミングで家がぐわんぐわんと揺れ始めました。やっとのことで寝室に戻ると、私の枕元には大きな家具が倒れていて……あの時、目が覚めていなかったら、今こうして生きていることはなかった。」

このお施主様の言葉こそ、一条のチーム員たちに「耐震というだけでは足りないのだ」と痛感させた一言でした。そして同時に、彼らに、新たな一つの“壁”が突きつけられたのです。
「どれだけ建物が強固でも、その中で暮らす人が安全でなければ、本当に『地震に強い家』とは言えないのではないか」

地震発生時の写真

地震発生時の写真

大震災で思い知らされた「足りないもの」

それまでも一条は、いつも答えは「実験」の中にあると考えてきました。
地震の脅威に向き合うならば、理論上の数値だけに頼るのではなく、リアルに家を揺らしてみるのが、何よりの“確証”となるはずだからです。

1985年には、杉山教授とのご縁がきっかけとなった東京大学をはじめ、数々の大学や研究機関と共に、実際の家を建て、地震時にかかる水平荷重をかける「実大実験」をスタート。時には3階建ての家屋の横に鉄骨の櫓を建て、真横から大型のジャッキで圧力をかけ、建物の変形具合を検証することもありました。

ところが、
先の阪神・淡路大震災で「それでも足りない」ことが分かってしまった。

どれだけ建物自体が無傷であれ、家の“中”が守られてこその「地震に強い家」。その答えとなる一つが、地震の揺れを受け流すことで建物自体の揺れを抑える「免震」という構造でした。

当時、免震という技術自体はすでに存在はしていました。しかし、その導入には1000万円以上の費用がかかり、一般のご家庭で採用するにはあまりにも高額なものでした。「普及しなければ、どんな立派な技術であっても意味がないじゃないか」一条が目指すのは “乗用車一台分”で搭載できる免震。それには、独自のアイデアで新たな方法を考える必要がありました。技術や構造は、“複雑であれば、複雑であるほど良い”というわけではありません。精密なものは、かえってメンテナンスに手間がかかったりもします。コストと長期の性能の維持を考えると、いかにシンプルな構造にするか、ここが重要でした。

実験に次ぐ実験。揺らして、建てて、また揺らす。気が遠くなるほどの回数の検証を繰り返し、ようやく完成したのが、震度7相当の揺れでも、家具の転倒やモノの落下をも防ぐ一条の免震住宅だったのです。

実大実験の様子

実大実験の様子

「これなら大丈夫」という思考は、捨てろ。

2000年4月、一条のハイブリッド免震構法は、免震住宅としては第一号となる建設大臣(当時)「一般認定」を取得しました。
実は、これは非常に革新的なことでした。この認定によって、一般住宅と同じ手続きで高度な技術を用いる免震住宅が建てられるようになり、価格も手が届くものになったことで、免震住宅の普及に大きく貢献することになったのです。

しかし、あらゆる地震を“想定内”とできる家は、そう易々とは実現しません。
2011年の東日本大震災では、それまでにないほど長い時間をかけて長周期の揺れが発生しました。また、記憶に新しい2016年の熊本地震は、余震と本震で立て続けに2度の震度7という巨大地震が発生しました。
「……そんなこと、あり得ない」
実験をしつくしたと思っても、想像をはるかに超えてくる地震に、一条のメンバーも絶句しました。

地震は“あり得ない”が、本当に“あり得てしまう”から、恐ろしいのです。
つまり、地震に“想定内”は存在しない。ならば、今ある最高の技術を駆使すると共に、常に「地震に強い家」のさらなる高みを目指し続けねばならない。
そう、終わりは、ない。

一条では現在、国の建築基準法の“2倍”という建物強度まで辿り着いています。それは、「他社よりも優れていたいから」ではありません。ひたすら、お客さまのために「地震に強い家」をつくりたいという創業当時からの想い、ただそれだけなのです。

水害

地震だけでなく、水害大国でもある日本。地球温暖化やヒートアイランド現象によって引き起こされるゲリラ豪雨の発生頻度は年々増加傾向にあり、ここ数年の間にも、豪雨や洪水で大きな被害を受けた地域は少なくありません。避けることのできない自然災害に耐える家づくりを目指す一条は、約3000トンもの水を使って豪雨・洪水を再現した実大実験を実施し、2020年に床上・床下浸水を防ぐ、世界初の「耐水害住宅」を発表しました。国立研究開発法人防災科学技術研究所と手がけたこの取り組みが評価され、環境省が主催する「気候変動アクション環境大臣表彰」の初代受賞者に選定されています。※自社調べ 2020年8月時点

水害

“It” PRODUCT

夢の家 I-HEAD構法

「夢の家 I-HEAD構法」実大耐震実験「夢の家 I-HEAD構法」実大耐震実験

夢の家 I-HEAD構法

夢のような性能を備えた家として誕生した「夢の家」。
I-HEAD構法の「I」は一条工務店、「HEAD」は「健康(Healthy)」「省エネルギー(Ecology)」「耐震(Aseismatic)」「耐久(Durability)」の頭文字。
数々の受賞歴が、その品質の高さの証です。

  • 1985
    実大実験スタート
  • 1995
    阪神・淡路大震災
  • 1998
    免震住宅発表
    公開実験を実施
  • 2000
    免震住宅が
    建設大臣一般認定第1号取得
  • 2001
    夢の家_
    I-HEAD構法
    販売開始
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